株式会社MINESYOJI

水素ステーション事業
1. 水素社会への足がかり
日本の水素技術への取り組みは、第一次石油危機(1973年)を契機に策定された、石油依存の低減や省エネによる資源の有効活用等を目的とするサンシャイン計画等の国家戦略から始まった。それから30年以上の年月を経て、2014年に燃料電池自動車がそれぞれ上市された。
日本における水素の政策を表1に示す。2017年12月に策定された「水素基本戦略」では、水素活用に向けた各省の政策群が2030年の共通目標の下に統合された。
表1
2.水素が必要とされる社会的背景
水素が必要 とされる社会的背景の一つとして、エネルギー安全保障・安定供給の向上に寄与する可能性を有していることが挙げられる。
水素は多様なエネルギー源から製造可能な二次エネルギーであり、エネルギー安全保障・安定供給上の調達リスクの分散に役立つ幅広いエネルギーポートフォリオを常に保持することが求められる日本において、水素・燃料電池技術は有望な選択肢の人とされている。
二つ目は、再生可能エネルギーを活用した水素製造が可能となれば、水素利用(燃料電池発電)では水のみ排出されるので、地球温暖化対策になることが挙げられる。太陽光エネルギー、風力、褐炭等によるCO₂フリー水素の製造が本格化すれば、グリーンエネルギーとしての特質が発揮され、低炭素社会の構築に資することになる。
3. 激化するクリーン水素の覇権争い
最近世界各国で、特に米国や欧州でクリーン水素に関する記事が多く公表されていることが分かる。
そこでは、能力規模の差はあるが、水電解装置を使いクリーン水素を製造するプロジェクトが計画され実証段階にある。再エネの大量導入が進む欧州では水電解槽の能力を強化してクリーン水素の生産を推進する報道が目立っている。

4. 褐炭からの水素製造
3.1 全世界の褐炭埋蔵量
石炭の全世界採掘可能埋蔵量:8,945億トン(概算水素賦存量500億トン)
その中に褐炭は2,050億トン(中国は1,145億トン)
3.2 褐炭ガス化技術・水素精製
3.2.1 石炭ガス化による水素製造方法
石炭ガス化による水素製造プロセスを図1に示す。ガス化炉で生成されたガスは、H₂とCOが主成分であるが、その他NH₃、H₂S、COS等の不純物がふくまれるため、それを除去するガス精製設備がある。不純物が除去された精製ガス中のCOは水蒸気H₂Oを用いて次に示す化学反応によりCO₂とH₂に転換される。CO₂は分離・回収され、純度の高い水素が取り出せる。
図1 石炭ガス化による水素製造
石炭
ガス化剤
ガス化炉
生成ガス
ガス精製
シフト反応
CO₂分離
水素
3.2.2 ガス精製設備
ガス化炉から発生した石炭ガスは熱交換器で適切な温度まで冷却され、ガス精製設備へと送られる。ガス精製設備は石炭ガスに含まれるNH₃やH₂S、COS等の不純物の除去、生成を行う設備である。


水素タンクトラック

水素ステーションの看板